金沢城公園は、加賀百万石前田家の居城であった城が一般に広く開放された歴史的空間です。外庭であった兼六園と共に石川県民の宝であり、多くの方にその素晴らしさを是非とも味わったいただきたいと思います。
重要文化財に指定されている「石川門」「三十間長屋」「鶴丸倉庫」のような歴史的な建造物、近年再建された「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」の壮大さ、また本丸園地付近で感じられる豊富な植物や動物など、見どころがいっぱいです。
そんな金沢城公園の概要と見どころをご紹介したいと思います。
金沢城公園の歴史
加賀一向一揆で支配権を握った本願寺が、天文15(1546)年に金沢御堂(尾山御坊)を建てた地に、天正8(1580)年、佐久間盛政が築城を開始しました。
天正11(1583)年、加賀初代藩主前田利家が能登から入城し(この様子が毎年6月の「金沢百万石まつり」での行列で再現されています)、本格的に城造りがなされました。慶長7(1602)年に天守閣が落雷による火災により焼失し、その後は江戸幕府への遠慮から再建されませんでした。
寛永8(1631)年の大火後には、もともと城内にあった武家屋敷は城外へ移されました。
宝暦9(1759)年の火災では城内のほとんどが焼かれましたが、その後は実用性を重んじた再建がなされ、二の丸を中心に整備されていきました。
現在、重要文化財に指定されている石川門は、天明8(1788)年に再建されたものです。また現在金沢城公園で唯一の有料施設となっている菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓は、文化5(1808)年の二の丸火災後に再建されましたが、明治14(1881)年の火災で再び焼失し、平成13(2001)年に再建されました。
金沢城は明治以降、第二次世界大戦の終戦を迎えるまでは陸軍第九師団司令部が設置され、陸軍の拠点として使用されました。戦後は城内に国立金沢大学が置かれ、平成7(1995)年まで本部キャンパスとして利用されました。
その後「金沢大学跡地等利用懇話会」の提言により公園として整備され、「金沢城址公園」として一般に開放されました。平成13(2001)年には「金沢城公園」と改称され、第18回全国都市緑化フェア「夢みどりいしかわ2001」の主会場として利用されました。また翌年の平成14(2002)年には、NHKの大河ドラマ「利家とまつ」の放映に合わせたイベント「加賀百万石博」の会場となりました。
平成20(2008)年には、城内の鶴丸倉庫が国の重要文化財に指定され、金沢城自体も国指定史跡になりました。
平成22(2010)年に金沢城三御門の一つ河北門が再建され、内部が公開されています。
金沢城公園はこれからも加賀の歴史と文化を伝える公園として整備され、貴重な文化を後世に伝えていくことでしょう。
金沢城公園の開園時間
金沢城公園は年中無休ですが、季節によって開園時間が異なりますのでご注意ください。
金沢城公園は園内の菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓以外は、無料でご自由に見学ができます。
開園時間 | 3月1日~10月15日 | 7:00~18:00(退園時間) |
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10月16日~2月末日 | 8:00~17:00(退園時間) |
※閉園時間になったら退園しなければなりませんので、時間に余裕を持ってご来園下さい。
金沢城公園有料施設の入館料
菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓の入館料
大人 | 小人 | |
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個人 | 320円 | 100円 |
団体 | 250円 | 80円 |
※提示書面=自動車運転免許証、身分証明書、健康保険証、健康手帳、その他(満65歳以上、または県民であることが確認できるもの)
お問い合わせ先
金沢城公園の入館料の免除の詳細については、石川県金沢城・兼六園管理事務所にお問い合わせください。
石川県金沢城・兼六園管理事務所
〒920-0937 金沢市丸の内1-1
TEL:076-234-3800 FAX:076-234-5292
ホームページ http://pref.ishikawa.jp/siro-niwa/
お得な割引情報
兼六園と金沢城公園を観光する場合は、「兼六園+1利用券」の利用がお得です。
兼六園+1利用券(兼六園・文化施設共通利用券)……2日間有効
料金 | 500円(団体30名以上400円) |
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内容 | 兼六園とその他の文化施設1施設(菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓、石川四高記念文化交流館、石川県立美術館、藩老本多蔵品館、石川県立歴史博物館、石川県立伝統産業工芸館)に入館できます。 |
チケットの お問い合わせ先 |
石川県県民文化局文化振興課 TEL:076-225-1371 |
→詳細はこちら(クリックするとPDFファイルが開きます)
金沢城公園の見どころ
菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓
平成13(2001)年に120年ぶりに復元された金沢城公園のメインスポット。
内部のモニターには、コンピューターグラフィックスを用いて建物の構造が紹介されています。長い期間天守閣を持たなかった金沢城にとってはシンボル的な建物であり、現在もその威風には圧倒させられます。
石川の職人が技術を結集して再建した、壮大な芸術品を是非ご覧下さい。
海鼠壁(なまこかべ)
石川門や五十間長屋などの外壁に見られるモザイク模様の壁。均一に並べられた平瓦を盛り上げられた白漆喰で接合。漆喰部分の盛り上がりが珍味として有名なナマコに似ているのでこう呼ばれています。
石垣
金沢城の石垣は全国でも珍しいほど種類に富んでいます。
主な石積みの種類には、「野面積み」・「打ち込みハギ積み」・「切り込みハギ積み」があり、それぞれの場所の石垣を見比べてみると面白い。石は約8キロ先の戸室山から採掘されたものを使用し、「赤戸室石」・「青戸室石」の2種類があります。
森の植物と生物
金沢城公園の緑地に生息する植物は約550種。本丸園地を歩くと城内にいることを忘れるほど鬱蒼とした森が続きます。
園内には、タヌキやモリアオガエルなど1500種以上の動物がいると考えられています。
金沢大学があった頃は、理学部の附属植物園でもありました。夕方になると大量のカラスが各地から帰ってくるのは、気持ちのいいものではありませんが、金沢城公園はまさに動植物の宝庫であるとも言えます。
石川門(いしかわもん)
兼六園から石川橋を渡ると、まずあるのがこの門。重要文化財に指定されています。
現在のものは天明8(1788)年に再建されたもので、金沢城の搦手門(裏門)になります。手前の石川橋の方には桜が植えてあり、春には美しい絵となり、金沢城といえばこの風景を目にされた方も多いと思います。また、夜間にはライトアップされていて、昼間とは違った美しさを醸し出しています。
石川門の瓦が白く見えるのは、鉛の板で葺いてあるためです。
菱櫓(ひしやぐら)
名前のごとく、建物の床がひし形(内角が80度と100度)になっています。大手門の城の表裏を見張るための物見櫓でした。
天守閣(江戸初期に焼失後再建されなかった)を持たなかった金沢城にとってはシンボル的な存在で県民に親しまれています。現在の菱櫓は、平成13年に復元されたものです。
五十間長屋(ごじっけんながや)
外からの眺めも壮観ですが、内部に入っても壮観さを感じていただけます。釘やボルトなどを使わない昔の製法で忠実に再建されており、見どころの一つです。
もともと武器などを納める倉庫で、戦争の際には二の丸を守る城壁としての役割を持っていました。現在の五十間長屋は、平成13年に復元されたものです。
三十間長屋(さんじっけんながや)
宝暦の大火(1759)で焼失し、安政5(1858)年に再建された倉庫。二層二階の多聞櫓で、鉛瓦葺の堅牢な構造が特徴的です。防壁であるとともに、兵器や食料の倉庫でもありました。国の重要文化財に指定されています。
丑寅櫓跡(うしとらやぐらあと)
宝暦の大火(1759)で焼失した櫓の跡地。正面には兼六園の茶店の並びが見え(江戸町通り)、卯辰山や医王山などの山々を眺望することができる。本丸から北東(丑寅)の方角にあった為、丑寅櫓と名づけられました。