現在兼六園の住所は「金沢市兼六町」ですが、「兼六園」という名称は元々土地の名前から付けられたのではありません。「六つを兼ねる園」という意味からそう名付けられたのですが、この「六つ」とは何でしょうか。
宋時代の書物「洛陽(らくよう)名園記」に次の文が記されています。
「洛人云う園圃の勝 相兼ぬる能わざるは六
宏大を務るは幽邃少なし
人力勝るは蒼古少なし
水泉多きは眺望難し
此の六を兼ねるは惟湖園のみ」
その意味は、「広々としていれば(宏大)静かな奥深さはなく(幽邃)、人工的であれば(人力)古びた趣は少なくなる(蒼古)。また池や曲水や滝が多ければ(水泉)、遠くは眺められない(眺望)。つまりそれぞれ相反する六つの景観(六勝)を兼ね備えているのは『湖園』だけである」ということです。
そしてまさに兼六園がそうであるという理由で名付けられました。
兼六園を散策する時は、この六勝を意識してご覧になると、その素晴らしさがより一層伝わることでしょう。